4月15日、「末盛千枝子と舟越家の人々―絵本が生まれるとき―」が市原湖畔美術館でオープンしました(6月25日まで)。
日本を代表する彫刻家・舟越保武の長女に生まれ、美智子さまの講演録の編集者としても知られる末盛千枝子さんの波乱に富んだ人生と仕事の全容に光を当てる展覧会。本展は、今から15年前、アートフロントギャラリーが企画・コーディネートを担当するヒルサイドテラス(クラブヒルサイド)の文化プログラムで、末盛さんのセミナーシリーズ「人生に大切なことはすべて絵本から教わった」を開催したことが契機となっています。
オープニングセレモニーで、小出譲二市原市長に続きあいさつに立った本展のゲストキュレーター末盛春彦さん(末盛さんの次男)は、「展覧会は宝さがしのようでした」と語りました。
ゲストキュレーター末盛春彦さんからのメッセージ(PDF)
続くトークは、末盛さん×アーティスト・中谷ミチコさん×館長・北川フラム。全国から駆け付けた末盛さんファンで、サテライト会場を設けるほどの盛況でした。
館長の北川フラムは、「すごい家族。舟越家の人々の作品にはそれぞれ青空がある」と語り、舟越保武さんの「長崎二十六殉教者記念像」を「時代の共有の意味の中で成立したパブリックアートの最高傑作」と絶賛、また大地の芸術祭の参加作家でもあった舟越直木さんについては、微笑ましいトイレのエピソードと共に「アーティスツ・アーティストとも言うべき、大好きな作家だった」と評しました。
中谷ミチコさんは、具象彫刻を今の時代に作る意味について語り、学生時代に舟越桂さんの著書『言葉の降る森』に支えられた思い出、地下鉄虎ノ門駅のパブリックアートを作る時に、保武さんの二十六聖人像を一生懸命勉強したことを語ってくださいました。
それを受けて末盛さんは、彫刻だけで家族を養い、生きていこうとした父、そしてすでに世に知られていた句人であったにもかかわらず文学の道を断念し、夫を支え続けた母、そして愛情深い家族への感謝を語りました。
トークの模様は市原湖畔美術館のサイトからご覧ください
本展では、末盛さんが手がけた60冊におよぶ美しい本、井沢洋二、はらだたけひで、津尾美智子、ゴフスタインの絵本の原画、美智子さまの本のために描かれた安野光雅の水彩画、芸術一家・舟越家の人々――舟越保武、桂、直木、母・道子、妹・苗子、茉莉、カンナ、そして末盛さん自身の作品、エリック・カールやピーター・シスからの手紙など、末盛さんと世界中の絵本作家や編集者たちとの交流を物語る資料、さらに、末盛さんの最初の夫で、NHKの名ディレクターだった末盛憲彦さんが遺した伝説的テレビ番組「夢であいましょう」の貴重な映像や写真など、文字通り、美しい宝物がたくさんつまった小箱のような展覧会です。
5月13日(土)、6月17日(土)には、東京駅、横浜駅発の高速バスと連結したシャトルバスが運行されます。
それにあわせて、ギャラリーツアーも開催します。
会期は6月25日(日)まで。ぜひ、ご高覧ください。
市原湖畔美術館 企画展
「末盛千枝子と舟越家の人々ー絵本が生まれるときー」
会期:2023年4月15日ー6月25日
展覧会公式サイト:https://lsm-ichihara.jp/exhibition/chieko_suemori_and_funakoshi_family/