北川フラム2020.05.25

台湾のWebマガジン「500times/500輯」に
インタビューが掲載されました

北川フラム 「普遍的価値が変化する時、アートの役割は世の中によって問われることになる。

記者:胡士恩

世界的に著名なアートディレクター北川フラムは、1990年代後半に「アートによる地域活性化」の創生計画を謳い、この20年「越後妻有・大地の芸術祭」「瀬戸内国際芸術祭」「房総里山芸術祭」など国際的なアートフェスティバルをディレクションしてきた。北川フラムが企画する芸術祭は、アーティストと地元住民との協働、サイトスペシフィックなアートによって「コミュニケーション」と「影響力」を創り出したことで知られている。

今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年、北川が総合ディレクターを担う3つの芸術祭—-「房総里山芸術祭」、「北アルプス国際芸術祭」、「奥能登国際芸術祭」は延期となり、2021年第8回の「越後妻有 大地の芸術祭」も例年とは異なる状況に直面している。

北川はディレクターとして、どのような困難に直面しているのか。どのような影響を受けているのか。この時局の中どう考えているか。「500輯」は北川フラムに「疫病の時代に寄せて」をテーマに取材した。

500 times : 新型コロナウイルス感染症の拡大により、私生活あるいは仕事に対してどのような影響を与えていますか。今どのような生活を送っていますか?

北川:私の場合、オフィスがある東京だけでなく、市原、大町、珠洲等、芸術祭が開催される地域も仕事場ですので、オンラインミーティングでのコミュニケーションは隔靴搔痒の感じで困ります。しかも可能な限り家にいるようにしているので、テレビを視、新聞を読み、読書と料理三昧です。おかけで、情報の行間紙背から報道の違いを読みとり、TV文化を知ることができました。勿論、現代社会についてゆっくり考えることができたのが一番大きいです。

内海昭子 「たくさんの失われた窓のために」大地の芸術祭  photo by 500times

500 times : 芸術祭を開催するにあたって多くの関係者がいると思います。芸術祭の延期が決まるまで、ディレクター、アーティスト、実行委員会、地元との間で、どのようなことに基づいて判断するか、誰とどのような協議をするか、また難しい点など教えていただけますか。最初に影響を受けた3月開催予定だったいちはらアート×ミックスを例として、教えてください。

北川:国や地方政府の要請に沿って動きながら県外からの流入に対する地元の人々の気持ちを優先的に考えます。地方政府中心の実行委員会とは、突っ込んだ、深い理解をするようにしています。
それができるかは、アーチスト達の意欲、スケジュール、経済的条件をしっかりとグリップしているかが鍵になります。
市原の場合、作品の半分が出来あがっていましたが、延期が決定した段階で、全部ストップして、来年オープンの3か月前から残りを制作することになりました。殆どの作家は現地に来ていたので、今度来れなくてもほぼ予定通りにいきますが、パフォーマンス等のイベントは、再設定が面倒です。ツアー等は準備が出来にくい状態です。

500 times : 芸術祭のディレクターとして、どのようなコミュニケーションを通して皆様と信頼関係を築いていますか。未知なことに対して、不安、恐怖の気持ちはありますか。様々な感情の中、どのように芸術祭を適切な決定に導いていますか。

北川:とにかく情報を正確に伝えるとともにこちらの考えをはっきり伝えます。経済的なことについても迷惑をかけないようにしますが、予算は当初よりオーバーするので、これを実行委員会に納得してもらいます。

深澤孝史「神話の続き」奥能登国際芸術祭2017

500 times : 疫病の流行は人々の生活とインターネットに新しい関係性をもたらし、例えばネットショッピング、オンラインミーティング、オンライン中継などが普及しています。この時勢の中、芸術祭の新たな可能性について考えたことはありますか。芸術祭において「現地(サイトスペシフィック」」の重要性がどう変わりますか?芸術祭の在り方について教えてください。

北川:通信と金融資本のグローバル化と都市型の均質な文化に対して地域固有な時空間で成立するサイトスペシフィックな作品をつくることに重点をおいてきましたが、アーチストの移動もままならなくなってきました。サポーターや観客の移動もどうなるか分かりません。ただネットを媒介にしたサイトスペシフィックな作品が工夫されるでしょう。映像の重要性は高まるでしょう。この事態で、国境が閉鎖的にならないためのアーチストの工夫と挑戦が試されていると思います。

500 times : もしコロナが終息になり、アーティストは各地域へ制作に戻り、鑑賞者も芸術祭に参加できることになったら、ディレクターとしてアーティストと鑑賞者へ伝えたいメッセージを教えてください。

北川:より深く、自然と人間の関係を問い直す作品が増えてくると思います。と同時にアートが媒介になるコミュニケーションの働きが大切になると考えます。特に健康、食、物流、エネルギー、教育、文化が今まで以上に大切にされ、経済第一主義からの価値変革がおこる時に、美術は大切な役割を果たせるかが問われてきます。

《500輯》オリジナル記事を読む

*本記事は「500輯」の許可を得て日本語に翻訳し掲載しています。

5つの芸術祭の現在 北川フラム

5つの芸術祭の現況  今から一年前、新型コロナウィルス感染が世界的に拡大し、それに伴い、昨年予定していた3つの芸術祭(「…

芸術祭北川フラム

2021.02.24

やがてミロとなるひとりの子どものために――豊かなアート体験の場をつくる

 コロナ禍のなか、アートフロントギャラリーが指定管理者をつとめる市原湖畔美術館では、第8回を迎える「子ども絵画展」の準備…

TOPIC展覧会

2021.02.02

代表・北川フラムが語る「社会的共通資本」としてのアートを求めて

コロナ禍に垣間見えた可能性               2020年は、年頭から新型コロナウィルスが話題になり、3月にはパ…

TOPIC芸術祭北川フラム

2020.12.24

いちはらアート×ミックス2020+ 12月23日(水)オンライン企画発表会開催

「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020+」実行委員会は来年2021年3月より開催する「房総里山芸術祭 いちは…

芸術祭北川フラム

2020.12.12

国際交流基金ウエブマガジン「をちこちMagazine」で北川フラムのインタビューが掲載されました

国際交流基金のウエブマガジン「をちこちMagazine」の特集「新型コロナウイルス下での越境・交流・創造」インタビューシ…

芸術祭北川フラム

2020.11.06

タイムアウト東京で北川フラムのインタビューが掲載されました

グローバルなシティガイドとして東京のさまざまな情報を発信してきたタイムアウト東京は、ポストコロナ時代のシティライフを読み…

北川フラム

2020.08.25

© 2021 ART FRONT GALLERY all rights reserved

Privacy-Policy